スポーツチャンバラ 田邊哲人会長のインタビュー
インタビュー記事No.12
「 第4回ヨーロッパ選手権大会 」

田邊哲人会長
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4月1日に第4回ヨーロッパ選手権大会が開催されましたが、如何でしたか?


  第1回ヨーロッパ選手権大会はフランスのパリ、第2回はロシアのモスクワ、第3回はイタリアのサレルノ、今回は第4回、ウクライナのオデッサでした。日本からは私、田邊、白井、山中、細川、小林、細川等国際協会本部役員及び審判団が参加しました。

  本大会前日の3月31日はヨーロッパ少年選手権大会(無段級の部)があり、我々が入っていくと中止して歓迎されました。特に盛り上がっていたのは団体戦。日本以上に熱気が体育館一杯に溢れていました。とにもかくにもヨーロッパのスポチャンは熱い!やはり世界をリードしてきた民族のパワーがそこにあるからだろう。アングロサクソン系、ゲルマン系、ロシア系、ラテン系の民族の誇りが熱い熱気となってぶつかっている。ロシア人はロシア人の誇り、エストニア人はエストニア人の誇り、ラトビア人はラトビア人の誇り、フランス人はフランス人の誇り、ウクライナ人はウクライナ人の誇り、それが全く嫌みのない爽やかな品格で見る人に清々しさを感じさせる。一口で言うと全部が「あか抜けている」。

ドナウ川に手を入れてみる田邊会長   オーストリアのドナウ川は美しい。コンビニのビニール袋一枚無い、ゴミ一つ浮かんでいないのだ。何だろう、この国は。日本とどこが違うのだろう・・・日本に帰ってきて横浜まで来たときに、これらヨーロッパの気品をどうやって迎え入れたら良いのか、どこへ連れて行ったら喜ばれるのか・・・と悩む。この差は多分、長い長い歴史が育んだ自信が品格となってこの背景を創出したのだろう。  ただの観光や物見遊山では理解できなかったヒューマン・リレーションが、このスポチャンを以て息吹を感じることができる事は大変意味があった。このようにスポチャンの中に身を置き、それら気品を実感し自らの気位を高めていく事は、何人と言えども人格の形成にいささかでも役に立つ事だろうと思う。




ウクライナでのヨーロッパ選手権大会も盛大に開催されたのですね。
各国の戦いぶりなどは如何でしたか?


  正式な報告はこれからですが、参加者は土日併せて500名程だったのではないでしょうか。年々参加者が増えています。ウクライナのオデッサは黒海に面した古い街で、温暖な気候ながらロシアの雰囲気が漂います。そのヨーロッパの東側にある街に、東西の各国から多くの参加者があり、時間も忘れて日本生まれのこのスポチャンを熱心に戦う姿に感動しました。

  打突競技ヨーロッパチャンピオンはロシアのPOEDINKOV YANIS選手、決勝で昨年の世界チャンピオン、フランスのAlain Girot選手との対戦となり見事優勝しました。初めてヨーロッパチャンピオンとなり、大いに喜んでいました。また基本動作チャンピオンはウクライナのVlad Petrovsky選手。真面目な人柄が滲み出た素晴らしい基本動作です。

  ヨーロッパの人々は日本人と比べると精神的に裕福なのでしょう。そして身体が強く、物事に正対する信頼が素晴らしい。これはやはり多くの民族の中で磨かれ、磨かれ、そして磨かれ残った人間が生まれて来た国々、という事なのでしょう。そう言う意味では日本は磨かれて来なかったのかもしれません。これは島国故、仕方ない事かもしれません。
  今や日本の国鳥となり上がりつつあるカラスたち、我がもの顔で生ゴミを道一杯に食い散らかしている。ポイ捨てタバコはどこにでもある。道に唾しても何とも思わない。ちょっと油断すると下水の蓋すら持っていく。。。たまらない。これからの日本は批判されたり磨かれる事を恐れず、覚悟して本当の文明人の仲間入りをさせて貰うことが必要でしょう。現在の日本の様々な事件・事案がその必要性を訴え、警鐘を鳴らしているのでしょう。




今年の世界大会も、日本勢にとってはまた脅威ですね。


  難しいでしょう。ただ勝ち負けというより、そういうヨーロッパの騎士道の謦咳に接することができ、その世界をリードしてきた人達に触れ、手を合わせる事ができると言うだけでもチャンスなのです。私はそのチャンスを作るだけですから、勝ち負けはあまり気にしていません。
  日本はこのままではいずれにしても負けるでしょう。それはスポチャンだけではなく、現在、何事の全てに言えることです。日本人は損得を考えず、まずは今一度初心に返って、日本がいかにあるべきか「日本固有の文化」を見つめ直してみる時かもしれません。

  お別れパーティーの際に、フランスのJEAN CLAUDE GIROT先生(第32回世界チャンピオンALAIN GIROT選手の父)が挨拶した中で、「ブシドウ・ブシドウ」と4回も言っていました。私はフランス語は元より、英語もろくに判らないのですが、「ブシドウ」と言っているその部分だけは何となく判りました。それは日本に武士道があるという意味らしい。           果たして今の日本のどこに武士道があるのやら・・・。


  来年の第5回ヨーロッパ大会はエストニア(タリン)での開催予定です。エストニアもまた素晴らしい国だそうです。海外遠征というものは、ただ海外の大会に参加する、またはその国を見るという事だけではありません。スポチャンを通して海外の選手のみならず、人々とその生活の中で触れ合い、文化交流を持つと言うことがいかに大事か。サイトシーンだけの時代はもう終わりです。なぜこの様な美しい国、文化を形成できたのか、日本に何が欠けているのか、日本人はどうすれば良いのを実感して欲しい。これがスポチャンの世界貢献になるならば。






第4回ヨーロッパ選手権大会
各国代表の有段者の部 (少年の部は前日に終了いたしました。)


有り難うございました。大会結果や写真等は、後ほど掲載予定です。
次回のインタビューもお楽しみに!

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