スポーツチャンバラ 田邊哲人会長のインタビュー
インタビュー記事No.26
「第34回世界大会について 」

田邊哲人会長
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第34回世界選手権大会が終了しました。


  手に汗握る展開になりました。
  特に国別対抗戦、これはやはり盛り上がりました。応援合戦ももの凄く、選手もあんなに応援を貰えば気合いが入るでしょう。体育館内は熱気に溢れました。
  ギャラリーと選手が飛び上がって抱きつく。距離も近いし心も近い。全てが近い。手の届く所にいる。このようなスポーツはなかなか無いのではないでしょうか。選手とギャラリーが近い距離で一体になれる、あの臨場感そのままでこれからもずっと大切にしたいですね。隣のコートとの間は約1mですけれど、その間にギャラリーが四方を囲むとそれこそ一杯です。その真ん中で緊迫した試合が繰り広げられ選手とギャラリーが一体になる、あの空気感は本当にいいものです。
5大陸からスポチャン好きな人々が集まり、安全且つ公平に腕を競う事ができる、大変に良い大会でした。

第34回世界大会団体戦打突競技決勝 イタリア対日本
第34回世界大会 団体戦打突競技決勝 イタリアが優勝を決めた瞬間



団体戦打突競技決勝は、大接戦でした。


  団体戦国別対抗戦の決勝では、イタリアと日本の戦いとなりました。
対戦は、先鋒の松本は相打ち、中堅の山田が勝ち、そして大将は田邊が負けましたので代表戦となり、日本代表は団体戦では勝ち続けていた山田が善戦しましたが、イタリアが優勝しました。力はほぼ互角ですから大変に盛り上がりましたね。
  ローマ軍の血を引いた末孫の騎士道、さすがに底力を見せていました。片や日本の武士道、その両者が安全且つ公平、そして自由に戦いました。結局、体力・スピード・身体能力は差ほど変わりませんが、ただ外国はスポーツに対して子どもの内から年齢に関係なく熱心で、心身ともバランスが良いですね。従って最後まで諦めず踏ん張りが利きます。
  フランスにはナポレオンの血が流れ、ドイツは誇り高いゲルマン民族、大国ロシア、その他の国もみんなそれぞれが自国に誇りを持っています。それに比べ、最近の日本は自信を持てなくなっているのでしょう。それは今の日本が政治・生活・目標それぞれがバラバラになっているような気がします。
  日本では学校に入れることに熱心で、学力はペーパーテクニックに成り、そのような "対 机" の勉強方法では、社会では実際には通用しないでしょう。社会は "対 人" で成り立っていますから。学校とは社会に出るための助走、社会への適応力を養う場であると思うのですが・・・。
それが社会に巣立つ能力、役立つ能力を養い人間力の向上になります。学校力と言うものが社会の点数と連動すれば良いのですが、連動していないのであれば、先生や親の言うことを良く聞く素直な子は、社会へ放り出されればその適応力の不足に戸惑い、そして "寄りすが" がなくなった時には哀れですね。社会性・適応力・人間性と言うものの人間力は"机上"では磨かれないのです。今の日本は特異な状況じゃないかな。対人にぶち当たり、そして「対人研磨」、スポチャンはそこに行き着くのです。

  また、海外の選手はみんな自費で来日しています。ポーランドは途中、嵐で飛行機が飛ばないと言うアクシデントに見舞われたにもかかわらず、日本に行きたいという一念から大会終了間近に子ども達が辿り着きました。48時間掛かったそうです。そして団体戦1回しか出場できませんでした。メキシコは中学生13名が約20時間掛けて、エジプトも少年少女が直行便で14,5時間、フランスが16時間掛かったそうです。しかしみんな "遠い" などは一言も言いません。その精神力はどこから湧いて来るのか。国内の九州や大阪、福井や富山が、"遠いから" などという泣き言は、もう彼らの前では聞きたくないですね。この人間力の差をしみじみ思い知らされます。大西洋が中心に回っている国の人達から見れば、極東の僻地4級、5級の日本に何を求めに来るのだろう。何を得て、何を思って帰国していったのだろう・・・。        また来年も来ると言う。

先日発売されたスポチャン歌を聴いて、正にこの歌の通りだと感じ入りました。

(スポチャン会歌〜「風」)
はじまりのないはじまり、おわりのないおわり
風は世界中をくまなく自由に
あぁスポチャンは風とともに
あぁスポチャンは高く高く舞い上がれ
The wind travels all over the world.
Spochan flies high in the wind.
空のはてから空のはて
時の前から時の前

はじまりのないはじまり、おわりのないおわり
人は国を超えて支え合い生きる
あぁスポチャンは人ともに
あぁスポチャンは強く強く結び合え
The wind travels all over the world.
Spochan flies high in the wind.
The wind travels all over the world.
風のように自由に

The wind travels all over the world.
Spochan flies high in the wind.
The wind travels all over the world.
風のように自由に


スポチャンの旗印
The harmony of the world
The dream of one million years of mankind
That is SPORTSCHANBARA

第34回世界大会 開会式
第34回世界大会 開会式





基本動作では、とうとう日本が優勝しました。


  基本動作では、日本代表は充実していましたね。私は見ていて優勝するかなと思いましたが、審判全員が外国の審判員でしたので、外国の人が見てどう判断するか分かりませんでした。しかし答えがみな一緒だったので安心しました。
ヨーロッパチャンピオンのエストニアは強敵だと思っていました。クラッシックバレエの人々ですから基本ができています。そして体での表現方法を知っていますから表現力は豊かです。それを審判がどう評価するか気になりましたが、みんなフェアな良い答えを出していましたね。

第34回世界大会団体戦基本動作決勝 日本対ロシア
勝った!!感激 エストニア Olga Bobrov

  基本動作は、全体的にレベルが上がってきています。どの国も基本動作は好きですね。世界中の人は、立ち振る舞い・人間性・精神性、そのようなものがきちっとした人間が好きなのです。人間が持っている本質ではないでしょうか。人間は本来、素直に伸ばすと寡黙で真面目に素直に育つものです。それが成熟した国といえるでしょう。ヨーロッパはそう言う点で成熟しています。不平不満を言わず、人のせいにしません。

  基本動作は内観する事から始まります。自分が何者か分からないから、それを実感して掴む方法があるとするならば、内観法しかありません。基本動作の中にそれはあります。自分との戦い、そして自分の心の中に自分を求めていく。それは何人の力も、他の力も必要としない。他を全く意識しない、古来、これは「無」と言っていますが、そう言う境地に表現されるものが基本動作です。基本動作はそのような "無の境地" になれる。それは心身のリフレッシュに繋がり、30秒(基本動作の演武時間)の中に内包されています。
また自分の存在を否定されるような判定が出た場合は、"無" を越え、"空" に至る。究極は "空" であれ、と先人が言っていた。

第34回世界大会 団体戦基本動作 ESTONIA 対 日本(大将)
第34回世界大会 団体戦基本動作 エストニア 対 日本(大将)

  今回の開会式ではセレモニーが少し長くなり、終了時は慌ただしいものになってしまいました。来年は更に人数も増え、団体戦は倍近くになりそうです。従いまして来年は、十分に時間が取れるように、終了時間に余裕を持って会場を押さえました。多少伸びても大丈夫でしょう。(第35回世界大会は、2009年11月8日に決定。)
また第35回全日本大会は2009年7月5日に決定しています。

  今年、団体戦に出場できなかったアメリカ ・ ドイツ ・ オーストラリア ・ モンゴル ・ ルーマニア ・ その他の国々は皆、今年の白熱した対戦を見て悔しがり、来年の出場を誓って帰国しました。
もう31ヶ国は、来年の世界大会に向けてスタートしているようですね。

第34回世界大会 団体戦打突競技 優勝と準優勝日本
第34回世界大会 団体戦打突競技 優勝イタリア と準優勝日本



有り難うございました。
次回のインタビューもお楽しみに!!

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